残る言葉には人々の思いが積み重なるものです。「光陰矢の如し」月日の過ぎ去る早さに感嘆した言葉ですが、受け継ぐ人々の実感が積み重なってこそ今日でもこの言葉が頻繁に使われます。
正にその通りで、2016年も本当にあっという間でしたね。今年も終わりを迎えるにあたって、当店では購入して私たちに影響を与えてくれた音楽達を表彰しようと決めました。(マネージャーしかいないけど)
今年もCDアルバム、またはEPを50枚ほど、データにて20枚分ほど購入しました。音楽も過去の積み重ねにより出来ますがまだまだ進化しているなと実感しました。基本的に邦楽がないのは、別に邦楽であればここで報告しなくとも既に聴いている方が多いでしょうから、今更紹介するのも恥ずかしいということで。
それでは各アルバム、楽曲の説明を下記リンクよりお立ち寄りください。
お世話になっております。題名通りでございます。私PAMOSAマネージャーは音楽がとにかく好きでして、特に演奏できる楽器もないにも拘わらずどんなジャンルでも聴いては購入するという性質の人間であります。在京時代にレコード店にて働いていたこと、中学時代から勉学そっちのけでレコードばかり買い漁っていたDJ崩れでございます。
そんな私の楽しみは音楽の発掘と発見。大海に散る、または沈もうとしている名曲を拾い上げ、地図を描くことなのです。その作業をこちらのブログでやってみようかと、そんなことを言いだすと「仕事そっちのけで音楽日記かよ」と言われるかもしれませんがこれには理由があるのです。
歌い方に特徴のある22歳。 「俺は英語なんて分からない、でも曲を聴いてコードを盗めばその曲がどのようなことを歌っているのか分かる」僕がレコード屋で働いているときに冗談好きの先輩がこう言っていました。
この若者の歌にはそのような特徴があって、色で悲哀や喜びの一端を表すようなところがあります。
アイザックグレイシーはイングランドはイーリングにて詩学者の母の元育ったということです。音楽的エッセンスはレディオヘッド、レオナルドコーエン、ボブディランとあるので、基本的に作詞に重きを置くタイプなのかなーなんて考えてます。
この曲はロンドンでのライブ映像で、まだスタジオ録音が出てない曲なのでこの音源でしか聴けませんが、必聴の1枚。
ライブ盤EPです。
サウサンプトン出身。キャリアは2013年からということで、22歳にしてはデビューして長いキャリアを持つ彼女。
この前に2枚のEPを出している彼女、路線的には所謂「売れ線」で、歌い方も結構変わっている印象です。
2016年にニンジャチューンから曲を出しているというのもその違いを後押ししているのは間違いないですが、それが彼女の意志なのか何なのかは不明。
で、この曲。
サビにて
Baby's gone to San Francisco
I don't really cry but I fucking miss him
It seems my love has become deeper like
Deeper like, deeper like, deeper for you
”あの人サンフランシスコに行っちゃた
別に泣きはしないけど、クソみたいに寂しい。
なんかもっと思いが深くなってる気がする、そんな気がする。あんたみたいな男のせいで”
(マネージャー意訳)
サンフランシスコに行ってしまった彼への思慕をストレートに言いながら「くそ寂しい」的な。飾り気のない言葉で言っちゃうとこが良いですよね。
小林秀雄は特攻隊の遺書の言葉を笑う人間に「その言葉しかなかったのだ」と一喝しました。あんまり関係ないけど、そんな話を思い出しました。
この曲はシングルにてデータ販売しています。
「セックスの後のタバコ」もし男女にまつわる俳句大会なるものがあればこれは季語的な役割を果たすでしょう(笑)なんつーバンド名だ。と、思う方もいるでしょうが、僕はこのバンド名、大好きです。
どのような光景かは人により変わりそうでそこも面白いし。というよりはそんなことは今本題ではなく。
ニューヨークに拠点を構えるバンドで、グレッグゴンザレス率いるメンバー不定のバンド。基本的にバンド名に拘泥する作風らしいのですが、全ての曲が素晴らしいという、僕としては少し悔しい思いをさせてくれるバンドです。
セカンドEPのジャケットは僕の大好きな写真家マン・レイの作品を使ったりとそこはかとないアート属性を見せてくれます。
で、このKという曲。
一夜限りの関係から本当に好きなってしまった女性の頭文字をとった曲名で、曲全体もそれこそ煙のような浮ついたギター、そこから彼の歌声、伝えるは「戻ってきてくれよ」なんていう届かないラブソング。切ない。
この「浮ついたギター」まさにコクトーツインズだ!!!と一人合点していたマネージャーですが、彼らにカジュアルな関係を歌ってくれと言えばきっとこのような曲になるのではないかと、勝手に思っています。
EPというよりはシングルです。
Chance the Rapperが初めて聴いたヒップホップにKanye Westを挙げたことを読んで、時間の進み方は残酷だと感じた梅雨の夜、世代を考えれば納得もしますけど。そんな僕が初めて触れたヒップホップは2pac。お訊ねになられてない?
で、逆にクラシックなものに影響を受けた若者がいれば「よくそんなの知ってるね」と感心する。知らないと怒る癖に。そらそうだろ。クラシックは知ってて当然なんだから。
そんな中、18歳の少年が曲作りに当たって、影響を受けたアーティストにビルエヴァンスやビーチボーイズを挙げたらどうでしょうか。ジャンルは違えどそれぞれを代表するアーティストの名前を聞くと「どんな曲を作るのだろう」なんて思いませんかね。
デビューは18歳の頃、2015に輝いた楽曲をリリースしたKing Kruleと同窓というのもまた出自に色をつけますね。最初のEPを聴いたときの違和感はジャケットのブレイクダンスの写真に収斂されましたが、収録されていたSoftly Draining Seasの感触は柔らかくてとても良く、とても10代が作れる曲ではないと勝手に思っていました。
そんな中に今年リリースされたCouch Boyというアルバム。
ハービーハンコックの「処女航海」にニューオーダーのブルーマンデイのジャケットなどなど見えますね。ここらへんで自分のルーツをアピールしているのかは分かりませんが。靴がダサいことだけは確かです。 このアルバムのイントロと二曲目が該当曲になります。曲調は2016最高のメロウと言っても良いほどスローで、ピアノメインの消極的な思いを綴った曲。
「まーた、ここでつっかかる、俺は立ち止まるんだよ。」という歌いだしは現状を否定したい男の微力な嘆きとなってリフレインします。
若さを負い目に感じているのか、曲の深みを理解してほしいという意図をジャケットに感じます。また、PVも曲に似つかない感じで、何か違和感を持ってしまいますが、そこが彼の意図したい「深さ」のアピールで、自分の曲の深浅を測られたくない予防のような気もしないではない。(レーベルの意図と指示でしょと言われたらそれまでだけど)
百見は一聴に如かず。とにかく聴いてみてください。
ロサンゼルス在住の兄弟によるユニット。前作のデビューアルバムは4ADからのリリースであったが、今回は彼ら自身のレーベルからリリースとなりました。
もちろん、それによって雰囲気は変わっているし、自由にできている印象はあります。前作の「No World」は名作であり、セールス的にもジャイルスピーターソンに取り上げられたり、Grand Theft Autoのサントラに収録されたりとレーベルの力も手伝い、知名度はうなぎ上りでした。引き続き出された「Teardrop from Below」(シングル)は「No World」の雰囲気を引き継いだ素晴らしい楽曲でしたが、この時点で発行者がレーベルではなく、兄弟の名前に変わっていますので、この時点で契約は終了していたと思われます。
で、今作です。前回との違いはアコースティックな音が多いですが、シンプルさでは前作の方が上回る印象の運びです。
「The Wheel」 「Bending」は必聴。
このアルバムは最初と最後を「Hymn」つまり讃美歌で始まり終わらせており、今回Pamosaにて多く流れたのは最後の曲「Hymn2」讃美歌の2になります。
歌詞は讃美歌そのもので、
A LOVER IS PRAYING FOR LIFE
LET THEIR PRAYER BE HEARD
LET THEIR PRAYER BE HEARD
「恋人は祈る、自分たちの人生の為に。
どうか、その祈りが届きますように、届きますように」
というようなことを歌っています。キリスト教の方には特に珍しい言い回しでもないでしょうが、人の祈りに対してそれが聞き入れられますようにと願う気持ちは日本人には馴染みないかもしれません(神主さんやお坊さん以外)
THE SOUND OF A MOTHER’S VOICE
TO A BABY IN THE WOMB
「母の声は子宮の中へ、その子供へ」
恋人の愛や、親の愛に触れながら、
世界の安寧を神に祈る形でこの曲は終わっていきます。
ゴスペルというには物足りない部分もありますが、言葉の優しさと取り囲む音の心地よさに何度も聴き直したくなる名盤です。
アルバム全体の雰囲気が敬虔な言葉により構成されており、とにかく優しいものとなっています。是非、一聴を。
売れる曲が良い音楽なのか、良い音楽が売れるのか?ならば良い音楽とはなんだ?と、禅問答のようになりそうですが、その価値はひとそれぞれなので何とも言えず、しかし、必ず通る曲というのはあります。住宅に基礎があるように、その音楽のジャンルにも基礎があり、それを踏襲することで違うものを作っていく。何でもそうですね。
正式なEPとしては初めてのはず・・・前出のGallantが歌っているという、タレント的には申し分のない組み合わせの楽曲です。
EPのタイトルは「Yours」こちらも表題曲が収録されており、静寂なスローテンポと新しい試みが上手くかみ合った1曲です。
で、今回紹介するのはHoloding Backという楽曲。ボーカルはGallantというキャストで申し分なし。
ミドルテンポのダンサンブルな楽曲になっており、ありがちなラブソング系の詩となっていますが、この曲の特筆すべきは音数の少なさと反比例する形で踊りだしたくなるような進行で、コーラスで一気に効果的なシンセを導入し、詩の印象を深く植え付けることに成功しています。良くあるといえばありますが、単純に、メロディーが深く練られたというよりは感覚(センス)によって流れ出しているような流麗さを持ち、編曲でそれが大きく効果を増した形で迫ってきます。
マネージャーは初めて聴いたときに鳥肌と眼底が熱くなる感覚を覚えました。シンプルに、且つ思いや才能の届くこの楽曲は今年必聴です。
また、この感動を増幅させる要因として、MVの作り方も一役買っていると言えます。
アトランタに実在する「カスケード」というローラースケーターの聖地を取材する形のMVで、アトランタではライフスタイルとして定着しているスケート文化の中心であり、発信となっている場所らしいです。
「医者だろうが、弁護士だろうが、皆ここでスケートをするんだよ」
という始まりから、集まる人々、そしてスケート、笑顔。 SNSや携帯とは違うコミュニケーションの場である「カスケード」は人々の楽しみによって継続し、またそこに常に音楽が寄り添っている。 良いじゃない!!!そんなの自然発生的に起こるなんて。
常連のスケートチームのインタビューも入り。ドキュメンタリーテイストにもなっています。
シングルのリリースは去年(2015)ながらもこの曲を収録したアルバムは今年にリリースなのでセーフと。アルバムは個人的に凡作。しかしながらこの曲の光り方は尋常ではなかったのです。リトル東京はオウンレーベルでこじんまりとリリースされていた訳です。
初めてのシングルでもなかったので自分のやりたい事はしているはず・・はず。
何をきっかけか、急に以前の彼を思い出し、抽象的な言葉によってそれら記憶に耽るも段々と後悔や猜疑が自分に表れ、彼に対する憎悪が芽生えてくる。次第に自分の気がおかしくなるも「気違いと言わないで」といいながら最後のコーラスに入ります。
全体的に詩が本当に詩らしく、抽象的になっているので、受け取りかたはそれぞれですが、リリック専門サイトGeniusの見解と照らし合わせてみると、そう変わらなかったのでとりあえずこういうことでレビューしました。
多分彼女は本当に気がおかしくなるのでしょう、だって離れた彼は他人の物になるし、彼に亡くなったとしたら・・・ね?(何がだよ)
二度聴かせるという意味でも非常に秀逸な曲です。